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BLACK WOLF
第2章 甘い誘拐
「あの、それより黒埼さんと母はどんな関係だったんですか?」

ずっと気になってた質問をぶつけた。

高級そうな外車にこんな凄いお店に簡単に出入りしてる人、知れば知るほど私や母には縁遠い人だ。

「知りたいですか?」

意地悪そうにニヤッと笑った黒埼さん。

その、狩りをする狼のような目に一瞬、背筋が凍りついた。

「あ、まぁ…、そりゃ…、私と母にはこんな凄い人と関わり合う機会なんて…」

私だって大学に入って引っ越す前まではただの田舎娘だったし、母は畑仕事が生き甲斐みたいな人だったし。

東京にいたってこんな凄い人と知り合うことなんてないのに。


と、黒埼さんと話ていると、先程のボーイさんが


「お待たせしました、黒埼様」


そう言って、テーブルに私と黒埼さんの紅茶を並べ、それと一緒に小さな可愛いポットやお砂糖やミルクや…、とにかく普通のカフェじゃ有り得ないようなセットを並べ、黒埼さんに一礼するとまた何処かへ下がって行ってしまった。

お茶飲むだけなのにこんなにいろいろセットがいるの?

っていうか、この小さなポットと茶漉しは何に使うの?

お茶なんて、昔母から少し教わった程度の茶道しか出来ないし、こんな席でのテーブルマナーなんてわかるわけがない。

テーブルの上のティーセットを睨み、格闘する私に


「まずはこのポットの中のお茶を茶漉しで…。それから、こっちのスプーンで…」



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