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BLACK WOLF
第11章 満月の夜の狼
もう会えない私の大切な人。
でも、どんなに汚され痛めつけられてもこの名前だけは忘れたくない。
私の心の奥にいつもある大切な存在、大切な名前。
「まだ、あの幼馴染みが…っ」
「忘れない……。忘れるわけない…」
黒埼さんは、何がなんでも私の中からハルちゃんの存在を消したいんだ。
そうじゃないと私はいつまでも黒埼さんになつかないから。
でも、私の中からハルちゃんの存在を消すことなんて出来ない。
ハルちゃんの名前も、頭を撫でてくれた感触も、抱き締めてくれた温もりも
笑顔も優しさも料理の味も、何もかも全部、覚えてる。
「私の体は好きにして下さい…、でも…っ」
ハルちゃんとの思い出だけは渡せない。
それに、私はここにいるという約束はしたが心まで明け渡す約束などしていない。
いくら黒埼さんでも人の心の奥底まではわからない。
私の考えは見破れても、心の奥底までは…、そんなこと誰にだってわかるはずないんだから。
俯きながらそう呟く私に対し、黒埼さんの溜め息が聞こえた。
意外に強情な私に呆れてるのだろう。
「大した女だ…」
すくっと立ち上がった黒埼さんはそのまま踵を返し、脱衣場から出ていこうとしてる。
いつまでも思い通りにならない女等、この人からすれば可愛くも何ともないだろう。
「さっさと風呂に入れ。風邪引くぞ」
そう言い残し脱衣場のドアをピシャリと閉めてしまった。
でも、どんなに汚され痛めつけられてもこの名前だけは忘れたくない。
私の心の奥にいつもある大切な存在、大切な名前。
「まだ、あの幼馴染みが…っ」
「忘れない……。忘れるわけない…」
黒埼さんは、何がなんでも私の中からハルちゃんの存在を消したいんだ。
そうじゃないと私はいつまでも黒埼さんになつかないから。
でも、私の中からハルちゃんの存在を消すことなんて出来ない。
ハルちゃんの名前も、頭を撫でてくれた感触も、抱き締めてくれた温もりも
笑顔も優しさも料理の味も、何もかも全部、覚えてる。
「私の体は好きにして下さい…、でも…っ」
ハルちゃんとの思い出だけは渡せない。
それに、私はここにいるという約束はしたが心まで明け渡す約束などしていない。
いくら黒埼さんでも人の心の奥底まではわからない。
私の考えは見破れても、心の奥底までは…、そんなこと誰にだってわかるはずないんだから。
俯きながらそう呟く私に対し、黒埼さんの溜め息が聞こえた。
意外に強情な私に呆れてるのだろう。
「大した女だ…」
すくっと立ち上がった黒埼さんはそのまま踵を返し、脱衣場から出ていこうとしてる。
いつまでも思い通りにならない女等、この人からすれば可愛くも何ともないだろう。
「さっさと風呂に入れ。風邪引くぞ」
そう言い残し脱衣場のドアをピシャリと閉めてしまった。