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BLACK WOLF
第11章 満月の夜の狼



……………風邪引くって、黒埼さんに言われたくない。



何とか思考も体の感覚も元に戻り始めた。

改めて思うと、今の姿はあまりにも情けない。

汗ばんだ体で一糸纏わぬ姿で床にへたれこんでる。

髪も体も顔もぐちゃぐちゃだし、顔や髪には黒埼さんが吐き出した欲望がベットリこびりついてる。

こんな姿でさっきみたいな啖呵を切っても迫力に欠ける。




早く、洗い落とさなきゃ…。





洗面台に手を付きゆっくりと立ち上がろうとするがまだ足がフラつく。

早く汚れを落としたいしこのままだと汗が乾いて風邪をひく。

その思いだけで何とか立ち上がり壁を伝いながら浴室へと入って行った。



大理石のバスタブがある広い浴室内に薔薇の香りが充満してる。

ついさっきまで黒埼さんが入ってたからかまだ暖かい。

お湯は酒井さんが溜めてくれてるのかな?

フラつく足と痛む腰のまま、湯気が立ち込める浴室へと足を進める。






ジャーーーーーーーッ!

勢いよく捻り出した熱いシャワーを一気に頭から被った。







そー言えば、初めて黒埼さんに会った時もこんな感じだった。

騙されて、薬入りの紅茶を飲まされて、気づけばベッドで縛られて、ムリヤリ…。

熱いシャワーと薔薇の香りがあの日の事を鮮明に思い出させる。

その考えを消し去ろうと頭や顔を両手で必死に擦ったが…



「今更、綺麗になんてならないか…」




もう出遅れ、かな?

だって、私は何回あの男に抱かれたの…?






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