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BLACK WOLF
第12章 その鋭い牙で仕留める如く
恐る恐るグラスを傾け舐めるようにちびちびと口にふくみワインのテイスティングのように舌で味を確かめてみる、と

「…美味しい」

「口にあったようでよかった」


ワインとは違う、ジュースそのものだった。

甘くてアルコールの味など一切しないフルーツの炭酸ジュース。

思わず喉を鳴らす勢いでクゥッと飲み干してしまった。


「気に入ったか?慌てなくてもまだあるぞ」


空になったグラスにまたシャンパンを注いでくれた。

「黒埼さんは飲まないんですか?」

「こんな甘い酒、好みじゃないんでね」

男性はビールとかウィスキーとか渋めの味のお酒の方が好きなのかな?

私の目の前で開けてくれたお酒だし、本当に変な薬が入ってるとかはなさそうだ。

それに、黒埼さん自らがハルちゃんの元へ戻れと言ってくれたのだからこれはちょっとしたお祝いのお酒だ。

初めて飲む甘い甘いシャンパンの味に私はすっかり病みつきになってしまった。


帰ったらハルちゃんとも飲みたいな。

でも、こんな高そうなお酒、私の手持ちのお金で買えるかな?


「相当気に入ったみたいだな」

「は、はい…」


乾いた喉に冷えた水分を流し込むとこんなに気持ちいいんだ。

それに、認めたくはないけど…、目の前には色っぽい男性もいる。

何なの、このシチュエーション。






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