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BLACK WOLF
第12章 その鋭い牙で仕留める如く
思えば、こんな大きな邸にいて、お酒に酔って豪華なディナーを食べ損ねたなんて笑える話だ。
お手伝いさんみたいな人がいて、お嬢様なんて呼ばれて、世の女性が憧れるような生活だ。
それにあの獣。
全身真っ黒で、掴まえた餌は時間をかけて痛め付けながら味わう。
そして、逃げ道がなくなったところで一気にとどめを刺す。
そんな恐ろしく残酷で、それでいて目を引き付けられる狼にいつの間にか支配されて━━━━━━━━。
「━━━━━━━━っ!」
ハッ
…体が
浮いたようにふわふわして気持ちいい。
まるで魔法にかかったように瞼が重く感じた。
気づくと私は、またもやどこかに寝かされているようだった。
「おはよう」
「あ…えっ…く、黒埼さ…っ」
ふっと首を横に向けると、椅子のようなものに座った黒埼さんがいた。
私の位置から見て上半身しか見えてない黒埼さんが私に"おはよう"と声をかけたのだ。
あ…、もしかして私、また眠っちゃってたのかな?
何か、体には布団みたいなものもかけられてるみたいだし。
「ったく、シャンパンごときで酔いつぶれるかねー」
やっぱり酔いつぶれて眠っちゃってたんだ。
最悪だ、せっかくの夜だったのに。
辺りを見渡すと…、そこは薄暗くてよく見えないが布団に寝かされているということは私の部屋まで運んできれたのだろうか?
「すいません。私、また━━━━━━」
ジャラ…カチャン…
え━━━━━━━━━━…