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BLACK WOLF
第12章 その鋭い牙で仕留める如く
気づくと、私の体に巻き付けられていた鎖は全て外されていた。
そのまま呆然と分娩台に寝転んでいた。
ふっとハルちゃんの方を見るとハルちゃんの鎖も外されていた。
鎖を外され自由になったハルちゃんは壁にもたれかかるように、片足を立てながら俯き座り込んでいた。
行為を終え満足した黒埼さんが私達の鎖を外して行ったのだろう。
「ハルちゃん…どうしてここに…?」
呆然としたまま天井を見上げながらハルちゃんにそう問いかけた。
本当はこんな事を言いたいんじゃない。
言わなきゃいけないことはもっと他にもあるのに、言葉が何も出てこない。
それに、今更何を言えと言うの?
「あの黒埼とか言う男が…、舞の居場所を知ってるから付いて来いって…。そしたら、でっかい邸に連れて来られて、そこで出されたジュースを飲んだら眠くなって…気づいたらここで、目の前で舞が…っ」
小さな声でぽつりぽつりと話してくれた。
やっぱり黒埼さんに誘拐されて連れて来られたんだ。
眠らされてここで縛られて、私の獣のような喘ぎ声で目が覚めたんだ。
ずっと見てたんだ、私のあの行為。
「またお前が急にいなくなって…、心配で心配で。ちょっと考えりゃ怪しいってわかったことなのに…」
黒埼さんに誘拐されたあの日から、ハルちゃんはどれだけ心配してくれてたか…。
なのに、久しぶりに会えたのに…、久しぶりに見た姿がこんな私だなんて…っ。
「何なんだよ…、あの黒埼とかいう男…。はは、鎖外された瞬間、殴るの忘れちまったよ…」
もう隠せない。
こんな姿を晒しといて、今更何も隠せない。
「私の死んだ父親があの人に借金してたらしくて、私はそのカタとしてあの人に買われたの」