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BLACK WOLF
第13章 尻尾を逆立て、爪を磨き
その声色でわかった。
ハルちゃんの怒りが。
ズキズキ痛む体をムリヤリ起こした。
椅子から降りてハルちゃんを止めようとした、が
━━━━━━っ!
「あっ、うっ…」
鈍い衝撃音とうめき声。
私の目に入ってきたのは、黒埼さんを殴るハルちゃんの姿…
ではなくて
黒埼さんに鳩尾を抉るように殴られてその場にうずくまってるハルちゃんの姿だった。
「…残念。動きは早かったがな」
黒埼さんに殴りかかろうとしたハルちゃんの一瞬の隙をついて黒埼さんがハルちゃんを殴ったのだ。
「ち…くしょ…っ」
「何だ?嫉妬で頭がヤラれたか?あ?動きすら鈍くなったか」
ドサッと膝から崩れ落ちたハルちゃんを勝ち誇ったかのような笑いで見下ろしている。
「あ…ゲホッ」
「それに、お前だって俺のペットで楽しんだんだろうが?」
「は?…ゲホッ…何の事だ…っ」
あ、そうか…。
黒埼さんは私とハルちゃんの仲を疑ってるんだ。
いつかハルちゃんに付けられたキスマークを見て、それで…。
「しらばっくれてんのか?だったら…、手荒かも知れねぇけど体に聞くか…あっ!?」
うずくまるハルちゃんの目線に合わすように黒埼さんもしゃがみこんだ。
その目を見た瞬間、わかった。
この人は…、ハルちゃんを…。
私とハルちゃんの仲を勘違いして、それでこんな事をしたんだ。
このままじゃ、ハルちゃんが…っ!
「この女が誰のもんかよくわかっただろ?しっかりその目で見ただろ?残念だったな。ここに来るまで、車内の中でこいつへの愛をペラペラ語ってたのになぁっ!」
立ち上がった黒埼さんが
ズボンのポケットに手を入れ
片足を大きく上げ、うずくまるハルちゃんの頭上に━━━━━