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BLACK WOLF
第13章 尻尾を逆立て、爪を磨き
「痛い目見ねぇとわかんねぇみてぇだな」
違う。
ハルちゃんとは何もない。
ハルちゃんはただ、私を守ろうとしてくれただけ。
「覚悟は出来てるんだろうな?」
私が勝手にハルちゃんに甘えただけ。
私のせいで、ハルちゃんが…
大切な幼馴染みが…っ!
黒埼さんの足がハルちゃんの頭上目掛けて━━━━━━
「やめてぇぇぇぇぇぇっ!!」
「な…どけっ!」
「嫌ですっ!」
今更かも知れないが、私はハルちゃんを守りたかった。
黒埼さんの足がハルちゃんに降り下ろされる瞬間、椅子から飛び降りた私は無意識のうちにハルちゃんの体を守るように覆い被さっていた。
裸のまま、でも無意識のうちに。
黒埼さんの足が寸前のところで止められた。
さすがに、裸の私を蹴り飛ばすことは出来なかったみたいで、地に足を戻し少しバランスを崩したみたいだった。
「ま、い…?」
「どけっ!どけっつってんだろーがっ!」
ハルちゃんを庇ったまま、私は首を左右に振った。
意地でもここはどかない。
これ以上、ハルちゃんを傷つけさせない。
「てめ…っ!そこどけっ!!」
「舞…、どけ…」
「嫌っ!!?絶対どかないっ!!」
本当は恐かった。
逆上した黒埼さんが今度は何をしだすかわからない。
でも、プライドも意地も根刮ぎ奪われた私には、もうこーするしかハルちゃんを守れなかった。