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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物

春子叔母さんだ。

何週間前に、私の母の死を知らせに来てくれた春子叔母さんに間違いない。

でも、どうして春子叔母さんがここに?



春子叔母さんは小さい頃から私を可愛がってくれた。

山奥に住んでた母に「舞ちゃんの為にも都会に移り住んだらどうだい?」って何度も話し合ってたし。

叔母さん自身は未婚だけど、私を実の子供のように可愛がってくれてた。

母の葬儀以来会ってなかったのに、どうしてこんなところにいるの?

まさか、黒埼さん…、春子叔母さんにまで何かしようとしてるんじゃ…っ。


「叔母さん、どうしてここに…?」

「どうしてって、黒埼さんが教えて下さったんだよ!舞さんは我が家で保護してますって」


抱き締める力を緩め私の目を見た春子叔母さんの目は赤く充血していた。

目に涙を堪えながら。

叔母さん、本当に私の事を心配してくれてたんだ。


私を抱き締めてる叔母さんの腕も体も、しばらく見ないうちにすっかり痩せ細ってしまっていた。


「春子叔母さん…、ごめんね…、心配かけて…っ」

「いいんだよ。無事ならそれでいいんだよ…」


私の頬や髪を触りながら、本当に私の無事を喜んでくれてるみたいだった。



でも、どうして春子叔母さんに私の事を教えたの?

どうして海外に引っ越す前に会わせてくれたの?

せっかく会えたのに、私はもうすぐ黒埼さんと異国に行かなきゃならないのに。



すると、私に触れていた叔母さんの手が私から離れたかと思うと

くるりと黒埼さんの方へ向き直し




「黒埼さん、何から何までありがとうございます」



と、黒埼さんに深く一礼したのだ。








え…?

何、どーいうこと…?

何から何までって、何なの…?





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