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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
私はこの人に保護されたんじゃない。

この人に誘拐されて拉致されたようなもんだ。

そのままこの邸に監禁されて、何もかもを奪われて…。



「いえ。こちらこそ連絡が遅れてすいません」

「とんでもありません。お忙しい身でしょうに…」

黒埼さんと比べると小さい春子叔母さんが何度も何度も体を深く曲げながら黒埼さんにお礼を言っている。

黒埼さんは立ち竦むようにして春子叔母さんを見つめてるだけ。



訳がわからなかった。

どうして春子叔母さんがこんなやつに何度もお礼を言ってるのか…。

それに、まるで春子叔母さんと黒埼さんは知り合いみたいな口振りだ。

うちの父が残した借金を母が変わりに返済してて、その流れで知り合いになったの?

それにしても、大袈裟なぐらいにお礼を繰り返してる。

神様を拝むように恐れ多いと言わんばかりに。




「叔母さん、黒埼さんの事、知ってるの…?」

「あ…いや…」



何かを語ろうとして口をつぐんでしまったその反応を見てわかった。

黒埼さんと叔母さんは以前からの知り合いだと。

きっと、母を通じて知り合いになったのだろう。


「下にタクシーを待たせてあります。荷物は後で引っ越し業者に運ばせます。早く帰って積もる話でもして下さい」

「あ、ありがどうございます。さ、舞ちゃん、帰ろう」

そう言って、私の手を掴んだ春子叔母さん。






え…、帰ろうって…?

ダメだ、私は帰れない。

だって、私はこの人にとっては借金のカタだ。

この人に付いて行くと自分の口で言ったんだ。

帰れないよ…っ!


戸惑う私をよそに、黒埼さんは止める気配がない。


「何してるの?これ以上黒埼さんのご厄介になるわけには行かないよ」

「でも…っ」

叔母さんに何て説明すればいいの?



動けずベッドの上でもたついてる私に黒埼さんが声をかけてきた。

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