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BLACK WOLF
第3章 狼の牙
じりじりと歩み寄る黒埼さんに私は恐怖しか感じなかった。

まさか、このまま殺されるんじゃ…?

「い、いや…いやぁぁぁぁっ!!!!!誰かぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

「ふざけないでっ!近寄らないでっっ!!!!!!」

…どんなに叫んでも誰かがくる気配すらない。

恐怖に染まる私を楽しむかのように、あの冷たい真っ黒な瞳で見下ろし怪しい笑みを浮かべている。

「あまり叫んだらこの後が保たねぇよ?」

私、まさか…、このままここで殺されるの?

今ここで殺されたとしても目撃者もいないし、証人もいない。

この人のことだ、上手いこと証拠隠滅して揉み消すことぐらい朝飯前だろう。


「ど、どうして、ですか…?私のお母さんにお世話になったって…」

黒埼さんは確かにそう言ってた。

私の母が亡くなったときにわざわざあんな山奥の実家にまで来てくれた。

私にまで優しくしてくれた…。

なのに、何でこんなことを…?

「う、嘘だったんですか…?…っ、私のお母さんにお世話になったって、話…」

恐怖のせいか涙が溢れて、声にならない声で必死に訴えた。

本当はお世話になったなんて嘘で、何か別の目的でこんな事を…?



涙目で黒埼さんを睨むと



「いや、世話になったのは本当だよ。ある意味感謝してるしな」

「だったらどうして…」

「あぁ、そーいえば、俺と母親の関係…、まだちゃんと話してなかったな」




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