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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
バタンとドアが閉まり運転手さんも運転席に乗り込みエンジンをかける。
「すいません、あの…」
「黒埼様から行き先は言いつかってます。××町でよろしいんですね」
「あ、はい。お願いします」
ルームミラー越しに目を合わせながら運転手さんと叔母さんの会話が聞こえた。
黒埼さん、ちゃんと叔母さんの住所まで調べて運転手さんに伝えてたんだ。
車はゆっくりと、足場の悪い道を走り出した。
後部座席で揺られながら、私の心はまだ現実味を感じられなかった。
だって、ついこの間までは私を監禁しておくためにあれこれ手を尽くし
私からハルちゃんまで奪い、ムリヤリ海外に連れて行こうとしてた。
私の体も人生も自分の思うように弄び、蹂躙して来たのに、今になって壊れた玩具を捨てるように「いらない」の一言だけで手放した。
あまり舗装が施されてない道をガタガタと揺れながらタクシーは山を降りていく。
車内のルームミラー越しに見える大きな黒埼邸がどんどん離れて小さくなっていく。
私はあそこに監禁されていた。
でも、もう自由になったんだ。
ハルちゃんも大学も、私にはもう何も残ってないけど、それでも私はあの邸から出られた…。
それでも、黒埼さんの事だから油断はならない。
自由になったと思ったところできっとまた私を連れ戻しに来るのかも知れない。
いつか、ハルちゃんの家から私を連れ戻したように…。
後部座席、叔母さんの横で俯きながら心配していると━━━━━
「舞ちゃん、いつか話そうとは思ってたんだけどね…」
「え…?」
叔母さんの声が聞こえた。
ぼんやり考え事をしている私の耳に入ってきたのは、重苦しい雰囲気の叔母さんの声だった。
「すいません、あの…」
「黒埼様から行き先は言いつかってます。××町でよろしいんですね」
「あ、はい。お願いします」
ルームミラー越しに目を合わせながら運転手さんと叔母さんの会話が聞こえた。
黒埼さん、ちゃんと叔母さんの住所まで調べて運転手さんに伝えてたんだ。
車はゆっくりと、足場の悪い道を走り出した。
後部座席で揺られながら、私の心はまだ現実味を感じられなかった。
だって、ついこの間までは私を監禁しておくためにあれこれ手を尽くし
私からハルちゃんまで奪い、ムリヤリ海外に連れて行こうとしてた。
私の体も人生も自分の思うように弄び、蹂躙して来たのに、今になって壊れた玩具を捨てるように「いらない」の一言だけで手放した。
あまり舗装が施されてない道をガタガタと揺れながらタクシーは山を降りていく。
車内のルームミラー越しに見える大きな黒埼邸がどんどん離れて小さくなっていく。
私はあそこに監禁されていた。
でも、もう自由になったんだ。
ハルちゃんも大学も、私にはもう何も残ってないけど、それでも私はあの邸から出られた…。
それでも、黒埼さんの事だから油断はならない。
自由になったと思ったところできっとまた私を連れ戻しに来るのかも知れない。
いつか、ハルちゃんの家から私を連れ戻したように…。
後部座席、叔母さんの横で俯きながら心配していると━━━━━
「舞ちゃん、いつか話そうとは思ってたんだけどね…」
「え…?」
叔母さんの声が聞こえた。
ぼんやり考え事をしている私の耳に入ってきたのは、重苦しい雰囲気の叔母さんの声だった。