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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
そ、っか。

叔母さんもお母さんも元は東京の人じゃない。

確かに都会の方が何かと便利だしね。

「舞ちゃんもしばらくはここに住んでね。黒埼さんから当面の生活費ももらってるし」

そう言いながら叔母さんは鉄筋の階段を登り始めた。

私も後を追うように付いて行った。

「でも、叔母さんに悪いから…」

「嫌だね~、何言ってんのっ!舞ちゃんは叔母さんの子供同然なんだから遠慮しなくていいんだよ!それに女の子がいた方が華やかになって楽しいしね~」

おおらかに笑う叔母さんの顔を見ながらも、私はタクシーの中で聞いた叔母さんの話が頭の中でグルグルと渦巻いたままだった。。

叔母さんの後を歩きながらも心はここになかった。


「さ、入って」


2階の突き当たり1番奥の部屋。

叔母さんが鍵を開けてドアを開け放つとそこは、何だか懐かしい畳の香りがした。

黒埼さんの家はフローリングと絨毯だったし。


「お邪魔します…」

「そんな畏まらなくていいよ~、大した部屋じゃないんだし」


玄関で靴を脱ぎ中に入ると中は2DKの造りだった。

昔ながらのステンレス製の流し台とガスコンロ。

6帖の部屋が2つ。

カーテンの隙間から差し込む日の光。


まるで、昔のお母さんと過ごしたあの家を思い出させるものばかりで凄く懐かしい。

畳の香りに、ベッドも何もないシンプルな部屋の造り。

黒埼さんの部屋はシャンデリヤやベッドやらクローゼットやら物が沢山あって何だか狭く感じた。


懐かしい思い出に包まれながら叔母さんの部屋へゆっくりゆっくり足を進ませて行く。


「さぁて、今日は舞ちゃんが来てくれた記念にご馳走作っちゃおっかな!何が食べたい?あんまりハイカラなものは作れないけど」

「あ、うん。何でもいいよ」



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