この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
「それじゃあ…、すき焼きにしようかな?舞ちゃん、好き嫌いは?」
「あ…特に、は…」
心臓がドキドキ言ってる。
そう、叔母さんの話を聞いたあの車内からずっとドキドキが止まらないでいる。
この懐かしい雰囲気に飲まれながら、懐かしくて嬉しいはずなのに、私の心はどこか遠くに飛んで行ってしまってる。
「じゃあ、スーパーで買い物してくるからね!舞ちゃんは疲れたでしょうから適当に座って寛いでてね」
「あ、うん…」
叔母さんから話しかけられても空返事しか出来ない。
叔母さんは忙しそうに財布の中身を確認しながらバタバタと玄関へと小走りで駆けていく。
靴を履きドアを開けて…、ドアが閉まり叔母さんの足音が廊下に響いている。
鉄筋コンクリートの通路をカンカンと走る音。
窓の向こうから聞こえて来る電車の走る音、小鳥の鳴き声。
1人になった部屋の中は桐箪笥と卓袱台と小さなテレビだけ。
下界と遮断されたような山奥にある黒埼さんの家に居たときは聞くことの出来なかった日常の音。
ごくごくありふれた生活音。
普通のありふれた日常に帰って来たのだと実感出来るものばかりで嬉しいはずなのに、何故か素直に喜べない。
私の頭の中には黒埼さんの顔が浮かんでいたから。
私は何も知らずにずっと━━━━━━━。
『確かに舞ちゃんのお父さんは黒埼さんから借金してたけど、それは黒埼さんのご厚意で融資してくれたんだよ』
『黒埼さんは、舞ちゃんのお父さんの生徒さんだったの。お父さんにはお世話になったからって会社を建て直す費用を全額無利息で貸してくれたの』
『取り立てなんて一切なかったよ。それどころか返済はいつでもいいし会社が安定してからでいいって』
『結局、会社は倒産しちゃったけどね。それでも、舞ちゃんのお母さんは"お世話になったから"って返済してたんだよ。もちろん黒埼さんは最初受け取らなかったみたいだけど』
「あ…特に、は…」
心臓がドキドキ言ってる。
そう、叔母さんの話を聞いたあの車内からずっとドキドキが止まらないでいる。
この懐かしい雰囲気に飲まれながら、懐かしくて嬉しいはずなのに、私の心はどこか遠くに飛んで行ってしまってる。
「じゃあ、スーパーで買い物してくるからね!舞ちゃんは疲れたでしょうから適当に座って寛いでてね」
「あ、うん…」
叔母さんから話しかけられても空返事しか出来ない。
叔母さんは忙しそうに財布の中身を確認しながらバタバタと玄関へと小走りで駆けていく。
靴を履きドアを開けて…、ドアが閉まり叔母さんの足音が廊下に響いている。
鉄筋コンクリートの通路をカンカンと走る音。
窓の向こうから聞こえて来る電車の走る音、小鳥の鳴き声。
1人になった部屋の中は桐箪笥と卓袱台と小さなテレビだけ。
下界と遮断されたような山奥にある黒埼さんの家に居たときは聞くことの出来なかった日常の音。
ごくごくありふれた生活音。
普通のありふれた日常に帰って来たのだと実感出来るものばかりで嬉しいはずなのに、何故か素直に喜べない。
私の頭の中には黒埼さんの顔が浮かんでいたから。
私は何も知らずにずっと━━━━━━━。
『確かに舞ちゃんのお父さんは黒埼さんから借金してたけど、それは黒埼さんのご厚意で融資してくれたんだよ』
『黒埼さんは、舞ちゃんのお父さんの生徒さんだったの。お父さんにはお世話になったからって会社を建て直す費用を全額無利息で貸してくれたの』
『取り立てなんて一切なかったよ。それどころか返済はいつでもいいし会社が安定してからでいいって』
『結局、会社は倒産しちゃったけどね。それでも、舞ちゃんのお母さんは"お世話になったから"って返済してたんだよ。もちろん黒埼さんは最初受け取らなかったみたいだけど』