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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
「さ、そろそろ食べ頃だよ!好きなだけ食べてね!」
その日の夜、小さな卓袱台の上に置かれたカセットコンロとその上に置かれた土手鍋。
その中からは美味しそうな料理のいい香りが漂っている。
ぐつぐつと煮込まれた豆腐やネギやお肉の甘辛いいい香り。
「頂きます」
叔母さんと向かい合わせに座り、久しぶりの身内との食事に何故か少しばかりの緊張を覚えた。
それに、好きなだけ食べてねって言われても…。
いきなりお肉を食べるのも気が引けるし、だからって野菜から食べたら失礼かな、と箸を持ちながら戸惑っていると
「はいはい、遠慮しないで」
そう言いながら叔母さんは笑いながら小鉢にたくさんのお肉と野菜をよそってくれた。
「あ、ありがと…」
お礼を言うと叔母さんは満足そうにニコッと笑ってくれた。
何だか、あったかいな…。
昔はお母さんともこーやってご飯食べたっけ。
小さなテーブルを囲んで、冬は湯豆腐しながら2人で。
野菜も食べなさいとか言ってムリヤリ小鉢に入れられてさ。
今の叔母さんみたいにニコニコ笑いながら楽しそうに。
ふっと叔母さんの方を見ると、お母さんの面影が見えた。
姉妹なんだから似てて当たり前だけど、何だかお母さんとご飯を食べてるみたいだ。
「…ど、どうしたの舞ちゃん?」
「あ、ごめんなさい…。何か、お母さんのこと思い出しちゃって…。しんみりしちゃったね…」
「……うぅん。叔母さんに気を使わないでずっとここにいてくれてもいいんだからね」
せっかく私の為に作ってくれたのに、こんな雰囲気にしちゃって何だか悪い。
ニコッと笑顔を作り直して食事を進めることにした。