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BLACK WOLF
第14章 夢をみていた獲物
暖かくて美味しそうな湯気に包まれて、幸せな一時のはずなのに、どうしてだろう。

私の脳裏にはずっと黒埼さんの顔がちらついてる。

あんなに憎くて大嫌いな男だったのに、今は、何だか━━━━…。




「あ、舞ちゃんはお酒飲めたっけ?あ、まだ未成年だったわね~」

「都会って広いわね~。叔母さん迷子になっちゃったわよ~」

「━━━━それでね、舞ちゃんのお母さんったらね~」




夕飯を食べながら叔母さんはお母さんが死んでから今までの私が監禁されてたであろう期間の話や、私の知らないお母さんの昔話を聞かせてくれた。

私は口いっぱいにご飯を頬張りながらその話を笑いながら聞いていた。

でも、気持ちは相変わらず上の空だ。




黒埼さんの事で頭がいっぱいで、叔母さんの話が全然頭に入って来なくて…。




ねぇ、黒埼さん。

あなたは一体、本当に…

本当のあなたは一体何なの?

私に酷い事をしたり、かと思えば私の両親に優しくしたり…。






食事が終わった後、時計を見れば既に夜の10時。

昔話に花を咲かせ過ぎてしまったと叔母さんは慌てながら食器を片付け卓袱台を退かして、押し入れの中から布団を出して2組の布団をひいてくれた。

さすがにお世話になりっぱなしも悪いので私は食器を洗いを買っては出たもののやはり何だか悪い。


「落ち着いたら私も働いて生活費入れるね。そのうちアパートも見つけるし」

「舞ちゃんはそんな事気にしなくていいから、しばらくはのんびりしてなさい」

……さすがにそうもいかない。

いくらお母さんの妹さんで昔から私を可愛がってくれてたとは言えそこまで甘えるわけにはいかない。

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