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BLACK WOLF
第15章 耳をすませ、爪を研いで
「でも、そんなに無理してたら体が保たなくなるよ~」

「大丈夫ですよ~、体力には自信ありますし独り暮しも経験してますから料理は得意です」



だって…、今の私にはお金が必要だから。

アパートを借りなきゃならないし、叔母さんのお世話になり続けるわけにもいかないし

それに━━━私にはもう1つ、やらなきゃいけないことがある。

私には、時間がない。





やっと知った真実を

黒埼さんの気持ちを確かめたくて…。

私はバカな事をしようとしてる。

時間がなくなって間に合わなくなる前に早く━━━━。














15:00になり、私は他の社員さんより早めに仕事が終わった。

「お疲れ様でした。お先に失礼します」

「はい。お疲れ様~」

残ってる他の社員さんは唐揚げを揚げたりサラダの野菜を切ったりしている。

私が挨拶し一礼をすると他の社員さんも挨拶を返してくれた。


━━━……。


「……叔母さん、私今日帰り遅くなるかも」

「え?どこかへ行くのかい?」

キッチンでお弁当を盛り付けてる叔母さんに話しかけた。



叔母さん、ごめん。

私、どうしても確かめたい。

何も知らずに今日まで守られながら生きてきた。

真実を知りたい。



「やだね~、春子さん!聞くだけ野暮だよ~」

「舞ちゃんぐらいのべっぴんさんなら彼氏の1人や2人と約束ぐらいあるさ~」


あはは~と他の社員さんは笑ってるけど、叔母さんは少しオロオロしている。

「違いますよ~…。た、ただ友人の家にちょっと…」





叔母さんに嘘を付くのは心が痛いけど

もし本当の事を言ったら余計に心配させるだけだし、絶対止められちゃう。

でも、私には時間がない。

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