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BLACK WOLF
第15章 耳をすませ、爪を研いで






玄関先で酒井さんと別れ、私はまたこの邸に舞い戻って来た。






玄関に入ると、相変わらず長くて広い廊下が姿を表した。

つい昨日まで叔母さんのアパートにいた私からすれば、いくら少しの間住んでたとは言え少したじろいでしまった。

広い廊下を歩き中へ中へと侵入し、黒埼さんが仕事場として使っていたリビングへと向かった。

酒井さんが"旦那様はリビングに…"って言ってたし、こんな広い家を探し回るなんて時間がかかってしまう。


廊下を歩いているとリビングのドアが見えたが…、ドアが少し開いていた。







この中に黒埼さんがいる。

私を弄んだあの残忍な狼が……。


もし、また捕まって監禁されたら…?

今度こそ逃げられないかも知れない。

私は自分の足でここにやって来たのだから監禁されても文句は言えない。

それだけ危険なことをしている。

それでも━━━━━…知りたい……っ。









キィッ



半開きになっているリビングのドアをゆっくりと開けた。



ドクンッ

ドクンッ

ドクンッ



心臓がさっきよりも増してズキズキ痛む。



ドアを開けると中は真っ暗で廊下の灯りが室内を照らした。

遮光カーテンを引き、音も何もない真っ暗な部屋。

その部屋の中に置かれた大きなソファに横になっている誰かの陰。




黒埼さん。





廊下の微かな灯りが照らし、見えたのは

床に散乱している仕事の書類の山と脱ぎ散らかしたジャケットやネクタイ、鼻をつくアルコールの香り。

ソファにはワイシャツと黒いズボンを掃いた黒埼さんがぐったりと横になっている姿だ。

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