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BLACK WOLF
第15章 耳をすませ、爪を研いで
突然のことで力を入れて抵抗することすらままならなかった。

連れられるままリビングへと入り


「こっちはアルコールで必死に抑えてたのに…っ」

「黒埼さん、痛いっ!離してっ!」


投げ飛ばされるようにソファに叩きつけられた。

柔らかなソファの上。

叩きつけられたところでさして痛くもないが


「何を飲んでも効かねぇ…。お前のせいで…っ」

「く、黒埼さ━━━━━んぅ」



体の上に感じる重みと、口いっぱいに広がる苦手なワインの味。

部屋が真っ暗で気づけなかったけど、あの頃みたいに

黒埼さんが私の上に覆い被さり、いつもみたいに強引に口づけてて来たのだ。


けど、あの頃と少し違う。


「ん、ん…」

理性やプライドや抵抗すらも絡み取るような口づけじゃなく、頬を撫でながらまるで慈しむようになぞる甘い口づけだ。

「必死で忘れようとしたのに…っ」




あんなに苦手だった酸っぱいだけのワインの味が、何故か甘く感じた。




私に触れる黒埼さんの腕が微かに震えている。

腕だけじゃない、唇も声も。

小さな子供が何かに怯えてるみたいに。



「黒埼さん…」

「そのまま聞いてろ。俺はお前にもう嘘はつかねぇから」





そう言いながら黒埼さんは私を抱き締めながら話し出した。

私が知りたかった真実を。















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