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BLACK WOLF
第15章 耳をすませ、爪を研いで
初めて知ったお父さんの話。

黒埼さんの過去。

お父さんや黒埼さんにそんな歴史があったなんて事。


「俺が大学に進学するころにお前の父親が亡くなったって聞かされた。
父が融資した金の半分も返せてないままだったけど、お前の母親が何とか返済しようとしてくれてたんだ」

「でも、その時俺の親父は社長の椅子を俺に引き継がせようとしてた頃で、お前の父親の会社の件は全て俺に一任されてた。
さすがに父親が亡くなって女手1つで頑張ろうとしてる母親から金は受け取れなかったんだ…」





叔母さんに聞いた通りだった。

黒埼さんは本当に何も受け取らなかったんだ。

厳しい取り立ても、法外な利子も付けずに。


「まだ小さかったお前を育てて行かなきゃいけないって事も知ってた。
両親が揃っていながら親からの愛情をマトモに受けなかった俺からすれば、まだ幼いお前に辛い思いをしながら育って欲しくなかった」


「"そんな甘い事じゃ社長としてはまだまだだ"とか何とか親父には散々言われたが…。
お前の母親も律儀でどうしても返済したいって食い下がるから、結局最低限の額だけを受け取るって事で話しがついた。お前のその頑固なところは母親譲りだな」


「お、お母さんが…」

「真っ直ぐに人を信じて逆境にくじけねぇところは父親譲りだ」


黒埼さんの腕の中で、お父さんとお母さんの話を聞いていた私の目には知らないうちに涙が滲んでいた。

顔すら思い出せないお父さんだけれど、私の中にはお父さんの面影が残ってる。

お父さんとお母さんのいいところを私はもらっている。


そして、この黒埼明という人間がどんな人かというのも少しずつ見えて来た気がした。

私は幼かった頃からこの人に守られていた。

形は違えど、私の事を心配してくれていた。


「だったら…、尚更どうして私を…?」

「…………。」


そんなにまでお父さんとお母さんの事を思ってくれて、幼かった私の事まで心配してくれてた人がどうして私にこんな酷いことをするのかわからなかった。






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