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BLACK WOLF
第16章 悲しき遠吠え



ハルちゃんは小さいときからの私の親友。

私の幼馴染み。

誰よりも大切だった。



なのに、私はハルちゃんを傷つけた。

到底許されない形でハルちゃんを…。

それでも、ハルちゃんは私に優しい言葉をかけてくれた。

私はずっとハルちゃんの腕の中で甘えてた。




必死に走った。

地面を蹴って、ハルちゃんの想いを必死に振り切ろうとした。

目を閉じると浮かんでくるのはハルちゃんのあの優しい笑顔。





走って、走って、息を切らせながら走って

私の気持ちの赴くままに走って辿り着く先に何があるのか━━━━━

その答えを探そうと私は抗っていた。






















━━━ざわざわと人が溢れ変えるターミナル。

1人の男が椅子に座りながら航空券を片手に物思いに耽っている。

溜め息を付きながらどこか寂しげに。

もう暖かくなり始めようとしてるこの時期に、少し時期外れの黒のスーツに身を包みながら。

「…は、所詮は身分の違いだったな」


本当は気づいていた。

親父から会社を任せられた時から自分の運命は決まっていた。

普通の恋愛は出来ないと。

一般人と同じように誰かを愛したり欲しがったりする余裕などないのだと。




『━━━…まもなくL.A行きの517便』





……今更、会社経営等に興味はなかった。

親会社がどーだとかそんなものはどうでもよかった。

わざわざL.Aに赴くこともなかった。

しかし、こうでもしないと…

遠く、出来るだけ遠くに離れないと…

叶ぬ気持ちを抱えたまま、ここにとどまっていたらいつか自分がダメになりそうだった。















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