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BLACK WOLF
第16章 悲しき遠吠え








『まもなく離陸します。離陸の際はシートベルトを着用し席からお立ちにならないよう━━━━━━━━』










機内アナウンス。

このアナウンスだけは未だに慣れない。

自慢じゃないが昔から飛行機というものは苦手だ。

飛行機が飛び立ち、遠く遠くに運ばれて行く。

今までの憂いや迷いを乗せて、遠くに。






















━3日後━







「おかえり、舞ちゃん!物件探しはどうだった?」

私の帰りを待っててくれたのは春子叔母さん。

私は春子叔母さんのアパートに未だに住まわせてもらっている。


「あ、うん…。まずまずかな…」

叔母さんの顔、気まずくて見れない。












ハルちゃんにさよならを告げ、黒埼さんを追いかけようと空港に向かったあの日。

飛行機に乗り込もうとする黒埼さんに"連れて行って"と言い告白をした。

黒埼さんと生きて行こうと決めたのだが…。




『それはそうとお前、一緒に行くのはいいがパスポートは?』

『え…?』








そうだったのだ。

産まれてこの方、海外になんて縁のなかった私がパスポートなんて持ってるはずがない。

ドラマのように着の身着のままで一緒に海外なんて無理があったのだ。

っていうか、めちゃくちゃ恥ずかしかった。







「舞ちゃんが出て行っちゃうと寂しくなるね~」

「ごめんなさい。でも、私もいつまでもお世話になるわけには行かないから」


空港から帰宅した私は取り敢えず物件探しに繰り出した。

パスポートも何もないんじゃ黒埼さんと一緒に行く事は不可能。

だからといって叔母さんの家で待ち続けるのも悪い。

今自分に出来ることを始めようと思ったのだ。


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