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BLACK WOLF
第1章 黒い薔薇
「ったく、噂話しかやることねぇのかって…」

「仕方ないよ。小さい村だもん、色んな噂が立っちゃうよ」

ハルちゃんが連れ出してくれたのは家の近くにある小川。

東京と違って田舎の水は凄く綺麗。

「お前、これからどうするんだ?」

「どうもしないよ。式が終わったら東京に帰る」

「でも、お前━━━━━」

わかってるよ、ハルちゃん。

頼れる身内なんてほとんどいなくて本当に1人ぼっちになっちゃったけど。

「にしてもムカつくよ。舞はバイト掛け持ちして学費や生活費を稼いで、母親にも仕送りしてたのに…あのババァ達」


そう。

離れて暮らす母に迷惑はかけず、少しでも楽をさせてあげたいと思って生活費や学費は自分で賄い、少額だが母に仕送りもしてた。

けど、そんな事今はどうでもいい。

そんな根も葉もないヒソヒソ話に反抗する気力がない。

「ハルちゃん、わざわざありがとうね」

「いや、週明けには帰らなきゃなんねぇんだ。有給もロクに取れないブラック会社の社員だから」

そう言って煙草に火をつけたハルちゃん。


ハルちゃんとは幼稚園の頃からの腐れ縁だ。

家が近所で家族ぐるみで仲が良かった。

小学校も中学校も一緒で、良くバカやりながら過ごしてた。

東京に上京する時期もほぼ一緒だったし。


「東京にいる時はなかなか会えないもんね」

「まぁ、昔みたいに年がら年中っていうのはちょっとなぁ」


ハルちゃんは昔から優しかった。

私が転んで泣きべそをかいてたとき

上級生に虐められたとき

近所の飼い犬に怖がってたとき

そして、今も

いつもこーやって然り気無く私を庇ってくれる。


「ハルちゃんは恋人とか作らないの?」

「…別に今は興味ない」


東京に上京してからもたまの週末はハルちゃんと遊んでる、けど

ハルちゃんには恋人らしい存在はいない。

こんなに優しい人なのに。


「つーか、舞だって彼氏いねぇじゃん!」

「私はいいの!ほっといてよ!」


こーやっていつも、私をからかって笑顔にしてくれる。




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