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BLACK WOLF
第4章 その檻の中

パンッ!!!!
乾いた音が響き、掌がジンジン痛む。
黒埼の頬が…赤くなってる。
今、私は人形だと言われたが、その言葉に反応してしまい黒埼の頬を思い切りぶってしまったのだ。
この人は、人の心なんて何とも思ってないんだ。
真っ黒な冷たい瞳を見ればわかる。
冷たい冷酷な人間だ。
「人形がやってくれるな…」
「ふざけないでっ!私はモノじゃないし人形でもないっ!」
確かに私はこの男に買われたかも知れないが、心のない人形じゃない。
悲しみや怒りだって覚える。
辛いときは涙だって流すし、こんなふうに逆上だってする。
心のない人形だなんて…っ。
赤く腫れた頬をなぞり、ククッと笑う黒埼。
怒りもせず仕返すわけでもなくただ笑ってるだけ。
「自分の立場をまだわかってねぇみたいだな…」
「えっ…━━━きゃぁぁっ!」
視界を
覆い隠すように私を押し倒し私の上にまたがった黒埼。
跳ね退けようにも…力じゃ敵わない。
ビクともしない。
「いやっ!離してっ!やめてっ!」
「いいか?お前は俺に買われたんだ。勝手な真似をしたらお前の大事な幼馴染みもタダじゃ済まねぇよ?」
"大事な幼馴染み"
その言葉にハッとした。
そうだ。
大人しくしなければハルちゃんが…。
私がハルちゃんを守るんだって決めたんだ。
抵抗しようとした身体中の力が一気に抜けた。
変わりに、頬を伝う熱い感覚…
ハルちゃん…。
ハルちゃん…。
「うっ、ひっ…」
ハルちゃんを守るためなら、これくらいどうってことない。
私を守ってくれたハルちゃん、今度は私が守る番。

