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BLACK WOLF
第5章 真っ白な壁
今までの楽しかった思い出。

ハルちゃんや母との楽しかった記憶が頭を過る。

なのに、脱衣場に噎せ返るほどに溢れる薔薇の香りが思い出の邪魔をする。



この薔薇の香り。

今まで何とも思ってなかった薔薇の香りも今は嫌い。

この香りはあの男の香りだ。

この香りがするたびに私はあの男を思い出す。

そして、今も私の体中にあの男の薔薇の香りが染み付いている。




ふっと辺りを見渡すと

広い脱衣場に大きくて綺麗な洗面台。

そこには男性用のクリームや整髪料が沢山並んでいて、目についたのは

T字の剃刀。



「……………。」




私には夢があった。

母のお葬式の時にもぼんやり思い描いてた夢。


いつか素敵な彼氏を作って、小さなチャペルで結婚式を挙げて、小さなアパートやハイツでいいから

毎日手料理を作って旦那様の帰りを待つ可愛いお嫁さんになること。

結婚式の夜に初夜を…、何て古いことは言わないけど、やっぱり初めては心から愛した男性と。

それから子供が出来て…。

私は独りっ子だったから姉妹か兄弟で、子沢山の家庭を作りたい。




そんな、ごく普通な在り来たりな夢。




けど、そんな在り来たりな夢すらもう叶わない。




こんな体でどうやって…?

こんなところに閉じ込められてあんな男に飼われて、そんな在り来たりな夢すら見れない。




お母さん、私もそっちに行くからね。

ハルちゃん、守ってくれたのにごめんね。

もう1度、ハルちゃんに会いたかった。





T字の剃刀の刃を手首に当てた。

ひんやりとした冷たい感触が伝わる。

ドラマみたいに上手く出来るかわからない。

血が沢山出て苦しい…って聞くけど、一発で切れれば苦しまずに逝けるよね。
















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