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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら
座り込んだままガムテープを剥がし段ボールの中を確認すると


引っ越す際に実家から持って来た私の今までのアルバム。

小、中、高と全部。

赤ちゃんの頃の写真や幼稚園時代のアルバムは実家に置いてある。


通帳や印鑑、その他のいろんな貴重品。

黒埼と出かけた際に持って来た鞄。

中身を確認すると財布やポーチは無事だったが携帯電話は抜き取られていた。



アルバイト代で買った香水や化粧品、下着やお洒落服やパンプスの類いはほとんど入ってない。

…本当に捨てたんだ。

お気に入りのものもあったし、節約しながら必死に買ったお洒落グッズだったのに。

怒りすら沸き上がって来ないほど私の心は壊れてしまってるみたいだ。


壊れた心で大学の事やバイトの事を気にかけていた。

学校に連絡しないとな、とか、バイト先であるファーストフード店にはどーやって連絡しよう、とか。

そんな事気にしてる場合じゃないのに、ね。


その場に座り込み、そんなどうしようもない事を考えていたが心とは違い体は素直なもので

私の胃が空腹の合図を掻き鳴らしていた。


「お腹空いたな…」


こんな時にまでお腹が空くなんて、何て呑気な体なんだろうか。

でも、これが生きてる証なんだ。

生きてるからこそお腹は空く。



しかし、いくらここに住めと言われても他人の家で勝手に食事をしていいのだろうか?

それにここは、あの最低な男の家出もある。

差し詰、この部屋は獲物を閉じ込めて置くための檻と言ったところか。









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