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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら
廊下の壁にかかってるとか

リビングに置いてあるとか

ダイニングキッチンにあるとか

お風呂の中とか、いろんなケースを想定して家中、隈無く電話を探した。

けれど、電話らしきものすら見当たらなかった。

あったのは訪問者を確認するためのインターホンのモニターだけ。






嘘…。

どうして、どこにもないの…?

これじゃ外部との繋がりは一切断たれたも同然だ。

私は本当にこの牢獄のような家に閉じ込められてしまったのだ。




逃げられない…。

逃げる術は全て断たれたのだと悟った。







地獄からまた地獄。

フラフラになりながら植木鉢を壊したリビングに辿り着き、ソファに気絶するように倒れ込んだ。



━━━そうだ、少し考えればわかること。

あの抜け目のない黒埼の事だ。

私を逃がさないようにあらゆる手段を使うに違いない。

自宅の鍵やガラスを変えて牢獄のような家に立て直すことくらい朝飯前。

いつ逃げ出すかわからない私を無防備に家に残して置くはずがない。

私の考えなんて黒埼に完全に読まれてる。

私は黒埼の手のひらで転がされてるに過ぎない。




やっぱり…、私はここにいるしかないんだ。

絶望にも似た諦め。






割れた植木鉢を眺めながら思った。

私もあんなふうに砕けてしまえればこんなに苦しくないのに。



いっそ壊れてしまえば楽なのに。















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