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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら
うつ伏せ状態で寝転ぶ私は、背中で黒埼の声を聞いていた。

反論する気にもなれないよ。

「……仕事?」

「あぁ。ついでにお前の大学とバイト先にも行って来た。退学届けと退職願を渡しに」

…そんなことだろうと思った。

黒埼が寄越したあの段ボールの中には大学の教科書も

洗濯の為に一時持ち帰ったバイト先の制服も入ってなかったから。

「何で…何でこの家には電話すらないの…?」

「連絡はほとんど携帯電話。固定電話なんか使わねぇし家にいる時ぐらい電話の呼び出し音から解放されたいし。それに、反抗的な人形がいつ誰に連絡を取るかわかんねぇし」

「私の携帯は…?」

「没収。真っ先に没収するに決まってんだろ?」




ここに閉じ込めておくつもりなら、そうするよね…。

やっぱり黒埼は私の考えなんて簡単に読み取ってる。

読み取った上で逃げられないように先回して先手を打ってる。

本気で私を閉じ込めて置く気なんだ。

酷く頭のキレるこの狼から逃れる術は残されてない、そう思った。





逃げられると思ったのに…っ。

ハルちゃんに会いに行けると思ったのに。



「もうすぐハウスキーパーが来るからその植木鉢も片付けてくれるだろうし。お前は部屋にでも戻ってれば?俺は持ち帰りの仕事があるから」



じゃあ、そのハウスキーパーに助けを…

って、どうせ駄目だ。

そのハウスキーパーにも大金を払って私を逃がさないようにと言いつけてるだろう。

そのうち私を見張る監視係でも雇うかも知れない。











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