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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら
黒埼と同じ空間にいるのは耐え難い。

ここから出して、嫌だ、とそんな押し問答を続けても虚しいだけだ。

映画なんて到底見る気になれない私はさっさと部屋に戻った。

部屋に戻ったはいいが、やること等何もない。

アパートから持って来た荷物を片付けようにも、片付けるほどの量でもない。

もう1度眠ろうかとも思ったけど、さっきソファでぼんやりしてたせいで眠気なんて感じない。


携帯も黒埼に取り上げられ完全に手持ち無沙汰になった私の目に飛び込んできたのは…、クローゼット。

…そー言えば、ここに来てから1回しか開けなかったクローゼット。

他にも服やら下着やらを揃えてあるって言ってたけど、どんな服や下着だろう?

今着てるパジャマもいつまでも着てる訳にもいかないし下着だってないと困るし。

鏡開きの大きなクローゼットを開けると、大人っぽい服や露出した服まで取り揃えてある、が

どれもこれも手の届きそうにないブランドものばかり。

下段は引き出し使用になっていて、そこには下着類が。


あの男が用意する下着がマトモなものじゃないことくらいわかる。

真っ赤なものから真っ黒なものまで。

デザインも、思わず顔を背けたくなるような卑猥なものばかり。


あの男が女性の下着売り場で下着を買ったのかと思うと気持ち悪いし、そんな男の趣味に染まりたくない。



元の下着や服を捨てればこれを身に付けるしかなくなる。

だから黒埼は私の私物の服や下着を全て捨てたんだ。






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