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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら

こんなもの着ける気にもなれないがいつまでも着た切りのまんまじゃ気持ち悪い。

数十着はあろうかと思われる下着の中から着けれそうなものを物色した。

紐のような下着に、派手な蛍光色の下着まで…。

これ全部、あの男が選んで買ったんだろうか。


改めて部屋の中を見渡すと、明らかに貧乏学生には買えないような家具や化粧品類がずらりと並んでいる。

私みたいな田舎者でも知ってるようなハイブランドの化粧品が鏡台に並べられている。

女性が喜びそうなものをとりあえず揃えたって感じだろう。

普通の女性なら大喜びしそうなものばかりなのに、さっきから寒気が止まらない。

私を閉じ込めておくだけの部屋と飾り、その為だけに取り揃えられたのかと思うと恐くて仕方ない。


やることもなく、ベッドに寝転び、またこーしてどうしようもない時間だけが過ぎていく。

天井を見上げながら考えることは1つ。




ハルちゃん、今頃何してるかな。

帰ったら連絡するって言ってたけど、携帯は黒埼に取り上げられたし外部との連絡手段は今のところない。

心配してるかな…。

ハルちゃんはいつも私の事を気にかけてくれてた。

東京に出て来てすぐ、私が風邪ひいた時もわざわざ会社帰りに薬やお粥を持ってお見舞いに来てくれたり

大学やバイト先での人間関係で悩んでた時も相談に乗ってくれたり

いつも私に優しくしてくれた。

そんなハルちゃんに迷惑はかけられない。

私が大人しくしてれば…。

私が…っ。



ハルちゃんを守る、その思いだけが今の私を支えてるんだ。









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