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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら

その日も何もする事がなく昨日と同じように、気づけばまた夕方。

カーテンの隙間から夕陽が射し込んでる。

何も変わらない1日だった。

ベッドの上に座り込んでぼんやりと今日という日が過ぎるのを待ってただけ。

不思議と退屈だと感じることはなかった。

そんなものを感じる余裕すらない。

また昨日みたいに黒埼が食事の時間を知らせにやって来て、またあの静かなダイニングキッチンで食事して━━━━━


すると



カチャ…



自室のドアが開く音がした。

どうせ黒埼だ。

黒埼が夕御飯を知らせに来たのだろう。

食欲ないし、あんな奴と一緒に食べたくない。

そんなことを思っていると




「あの、お嬢様…」



え…?

黒埼の声、じゃない…。

それは、黒埼の声じゃなく女性の声だった。

聞き慣れない呼び名とその声に驚き、ふっと顔を向けると



見慣れない女性がそこに立っていた。




「お食事の準備が整いました」



この人、誰…?

見た目は40半ぐらい、エプロン姿に髪を一纏めにした小綺麗な女性が私にお辞儀をしながら話しかけていた。



「あ、あの…、あなたは…?」

突然現れた見慣れぬ女性に驚きつつ、何者なのかを問い掛けてみた。

女性は顔を上げニコリと笑いながら私に話しかける。

その笑顔はとても優しそうな雰囲気だった。



「私、ここのハウスキーパーとして雇われております、酒井純香と言います。旦那様からお嬢様のお世話を仰せつかりました」



酒井 純香-さかい すみか-さん。

あぁ、例のハウスキーパーさんか。

旦那様というのはここの主の黒埼の事だとわかるけど、お嬢様って私のことかな?


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