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BLACK WOLF
第6章 狼は爪を研ぎながら
「あの人は…優しくなんかないです…」
小さくそう呟いた。
この家に私の味方はいない。
これぐらいの反抗しか出来なかった。
自分でも信じられないよ。
拉致監禁なんて、ニュースでしか見たことのないような出来事に巻き込まれるなんて…。
「そんなことありません。お優しい方ですよ。今日の食事もお嬢様好みにと仰ってましたし」
え…?
私好みって…?
もう1度テーブルの上の料理を見てみると
「和食なんて久しぶりですよ。旦那様は洋食しか召し上がりませんから」
肉じゃがにほうれん草のお浸しにお味噌汁、小皿に盛られた白菜の漬け物。
洋風のダイニングキッチンには似合わない和食メニュー。
「あの、これは…?」
「お嬢様は和食好きだからと━━━」
ここに来たときは、生きた心地がしなくて、嗅覚や味覚や視覚のほとんどが鈍ってたけど
今、目の前にあるこのメニューは
どれもこれも懐かしい香り。
実の母親の味とはいかないけど、母親が作ってくれたものばかりだ。
小さい頃、お母さんと一緒に食べた料理。
お母さんの香りと味。
これを黒埼が…?
私のために作らせた…?
…違う、騙されたりしない。
こんなもので騙されたりしない。
優しいフリをしてるだけだ。
あの人の本性はただの最低な男だ…っ。
小さくそう呟いた。
この家に私の味方はいない。
これぐらいの反抗しか出来なかった。
自分でも信じられないよ。
拉致監禁なんて、ニュースでしか見たことのないような出来事に巻き込まれるなんて…。
「そんなことありません。お優しい方ですよ。今日の食事もお嬢様好みにと仰ってましたし」
え…?
私好みって…?
もう1度テーブルの上の料理を見てみると
「和食なんて久しぶりですよ。旦那様は洋食しか召し上がりませんから」
肉じゃがにほうれん草のお浸しにお味噌汁、小皿に盛られた白菜の漬け物。
洋風のダイニングキッチンには似合わない和食メニュー。
「あの、これは…?」
「お嬢様は和食好きだからと━━━」
ここに来たときは、生きた心地がしなくて、嗅覚や味覚や視覚のほとんどが鈍ってたけど
今、目の前にあるこのメニューは
どれもこれも懐かしい香り。
実の母親の味とはいかないけど、母親が作ってくれたものばかりだ。
小さい頃、お母さんと一緒に食べた料理。
お母さんの香りと味。
これを黒埼が…?
私のために作らせた…?
…違う、騙されたりしない。
こんなもので騙されたりしない。
優しいフリをしてるだけだ。
あの人の本性はただの最低な男だ…っ。