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BLACK WOLF
第7章 獣のような目で

「別に、泣いてなんか…」
「そんなに雷が怖かったか?」
「…山育ちなんで雷には慣れてます」
いつものように笑いながら私をからかう黒埼さんの癖。
それに反論する私。
けど、今日は出来ない。
いつもみたいに睨み付けたり無視したり出来ない。
酒井さんの話を聞いたせいか顔すら見れない。
「ハウスキーパーから聞いたよ。今日はちゃんと食ったみてぇだな」
「……まぁ」
どうしよう。
黒埼さんの顔がまともに見れない。
「さ、酒井さんは…?こんな雨の中を歩いて帰ったの…?」
「まさか。タクシー呼んで家まで送らせたよ」
「…そう」
こんな最低な男に緊張なんかする必要ないのに。
気持ちの変化を悟られないように黒埼さんから顔を背け続けたがそれも返って怪しく見られそうで。
…お願いだから早く出てってよ。
「どうした?今日はいつもと違うな」
「な…っ」
「いつもはゴミでも見るかのような目で睨み付けてくるのに」
やっぱり、この人は全てお見通しだ。
この人の前じゃ何も隠し通せない。
いつもと同じように素っ気ない返事しかしてないのにどうしてわかるんだろうと横目で黒埼さんの方を見ると…
そこにはびしょ濡れのスーツ姿の黒埼さんが立っていた。
「顔色が悪かったってハウスキーパーが言ってたけど。バカでも風邪くらい引くのか?」
「黒埼さん…スーツが…」
「あぁ。雨に降られた」
だったら私の様子を見に来る前にお風呂にでも入ればいいのに。
いつもみたいにそんな憎まれ口を叩く前に体ぐらい拭けばいいのに。
憎まれ口を叩かれても、昨日ほど腹立たしくない。
「そんなに雷が怖かったか?」
「…山育ちなんで雷には慣れてます」
いつものように笑いながら私をからかう黒埼さんの癖。
それに反論する私。
けど、今日は出来ない。
いつもみたいに睨み付けたり無視したり出来ない。
酒井さんの話を聞いたせいか顔すら見れない。
「ハウスキーパーから聞いたよ。今日はちゃんと食ったみてぇだな」
「……まぁ」
どうしよう。
黒埼さんの顔がまともに見れない。
「さ、酒井さんは…?こんな雨の中を歩いて帰ったの…?」
「まさか。タクシー呼んで家まで送らせたよ」
「…そう」
こんな最低な男に緊張なんかする必要ないのに。
気持ちの変化を悟られないように黒埼さんから顔を背け続けたがそれも返って怪しく見られそうで。
…お願いだから早く出てってよ。
「どうした?今日はいつもと違うな」
「な…っ」
「いつもはゴミでも見るかのような目で睨み付けてくるのに」
やっぱり、この人は全てお見通しだ。
この人の前じゃ何も隠し通せない。
いつもと同じように素っ気ない返事しかしてないのにどうしてわかるんだろうと横目で黒埼さんの方を見ると…
そこにはびしょ濡れのスーツ姿の黒埼さんが立っていた。
「顔色が悪かったってハウスキーパーが言ってたけど。バカでも風邪くらい引くのか?」
「黒埼さん…スーツが…」
「あぁ。雨に降られた」
だったら私の様子を見に来る前にお風呂にでも入ればいいのに。
いつもみたいにそんな憎まれ口を叩く前に体ぐらい拭けばいいのに。
憎まれ口を叩かれても、昨日ほど腹立たしくない。

