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第7章 獣のような目で

狼みたいな射るような鋭い目。

真っ黒な髪の毛に、真っ黒なスーツ。

私をバカにするかのような口振り。

いつもと同じなのに、どうして今日は腹が立たないんだろう。


「どうした？」

「別に。体、乾かさないと風邪ひきますよ…？」


…私は、考えすぎて頭が可笑しくなったのだろうか。

こんなやつの心配なんかする必要ない。

この人が風邪をひこうがどうなろうが、死のうが生きようがどうでもいい。

どうでもいいはずなのに…っ。


「本気でどうしたんだ、お前。とうとう頭が狂ったのか？」


体の事を心配する私に不信感を抱いたのだろうか。

でも、自分でも思う。

何でこんな男の心配なんかしてるんだろう。

自分で自分がわからず黒埼さんの質問にすら答えられなかった。

だって、自分でもわからないんだもん。


「先に終わらせなきゃいけない仕事があるから、それが終わったら入るよ」


そう言って黒埼さんは私の部屋から出ていった。

黒埼さんの心配の前に私もお風呂に入らなきゃ。

酒井さんとの話に夢中になり、そのまま考え込んじゃってお風呂に入るタイミングを逃してしまった。

黒埼さんが出てからでいいかな。