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BLACK WOLF
第7章 獣のような目で
雨の中、びしょ濡れになりながら帰って来て、体を拭く前に私の様子を見に来たのかな?

髪の毛から雨の滴が滴り落ちるほどびしょ濡れになったくせに。

外は寒いし、雨だってきっと氷みたいに冷たいのに。

そんなことを思いながら酒井さんとの会話を思い出し、酒井さんの話しと自分の記憶の中の黒埼さんを照らし合わせてた。


私をムリヤリ奪った黒埼さん。

だけど、本当はハウスキーパーさんを気遣うほど優しい人?

酷いことをしたかと思えば優しくて、憎まれ口を叩いても言葉の端々に私を気遣う言葉も混じってて

田舎者とバカにしてる割りには和食を用意してくれたり、苺を用意してくれたり、雷に怯えないように気を使ってくれたり。

もし、もし本当に酒井さんが言うように優しい人だったら?

私をここに連れて来た本当の訳は…?





ザァザァ降り続ける雨。

考えたくても雨音が邪魔をして、まるでモヤがかかったように考えがまとまらない。

頭を抱えながら考えても…、何も浮かばない。




黒埼さんが部屋を出て行ってから1時間近く経つ。

黒埼さん、もうお風呂に入ったかな?

私も入りたいんだけどな。




こんなに広い家じゃシャワーの音すら聞こえず、入浴中かどうかもわからない。

広い家なのに内線電話もない。

下まで降りて確認するしか方法はない。

黒埼さんと鉢合わせしたら気まずいけど、今日は家の中を走り回ったせいで汗もかいてていい加減気持ち悪い。



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