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BLACK WOLF
第7章 獣のような目で
そっとドアを開けて、ゆっくりゆっくり気配を殺しながら下へ降りて行った。

今は黒埼さんに会いたくない。

この家にいる限りずっと顔を合わせない訳にはいかないが、とにかく今日はどうしても会いたくなかった。



長い廊下をゆっくりと、気配と息を殺しながら歩き、風呂場の近くまで来ると…



シャワーの音が聞こえない。




黒埼さんはいないみたいだ。

もう入ったのかな?

でももし入ってなくて、私がこのまま入浴してて黒埼さんが入って来たらと思うと怖い。

入浴中にドアを開ける、あの人ならやりかねない。

実際、前に1度本当にされてるし…どうしよう。



風呂場の前で躊躇っていると━━━━━━





「はい。えぇ、大丈夫です」

「……?」






微かに黒埼さんの声が聞こえた。

耳を澄ませると…、声はリビングから聞こえてくるようだった。






黒埼さん、リビングにいるんだ。

もうお風呂に入った後かな?

それだけ確認するくらいなら大丈夫だ。

一言それだけを聞いてすぐに逃げればいい。




声に耳を澄ませながら声のする方へと歩いて行った。




「心配なさらなくても大丈夫です。全て順調です」




リビングのドアの前まで来ると黒埼さんの声がハッキリと聞き取れる。

ここで間違いなさそうだ。

ノックして、一言言って、返事が聞けたらすぐ閉めればいい。

でも、今は電話中みたいだ。

もしかしたら仕事の話かも知れないし邪魔しない方がいいだろうか…。








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