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煮詰めたシチュー
第1章 雑記 恋とゆで卵
要するに、気遣いや心配りの問題なのです。
浮気というのは誰にもバレずにコソコソとやる性質のもので、匂いさえ漂わせてはいけない。
徹底して嘘をつき、良心を自傷し、その痛みを自分の中に閉じ込めること。
それが¨遊び¨の鉄則であり最低限の思いやりというもので、チアキへの僅かな思いやりを放棄した事が彼の最大のエラーなのです。
伴侶や恋人に不貞が発覚するような事態は、そういう意味で最低の行為なのだと思います。
適齢期から徐々に遠ざかりつつあるチアキにとって、彼は結婚を前提とした交際相手でしょう。
今の時点で、自分の浮気ひとつ隠し通せないボンクラ男とこのまま所帯を持ってしまえば、チアキは同じような苦しみを何度も味わうことになるのではないか。
そうなればいずれ、チアキも心の置き所を他所に探すようになるのではないか。
人生においてそういう時間の来し方は非常に憂鬱で、もったいないものなのです。