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煮詰めたシチュー
第2章 雑記 ジブンのカタチ
買い物帰り、時々遠回りして街を見下ろす高台に向かいます。
二人でコロッケにかぶりつきながら街を眺めていると、峠で走っていた頃を思い出します。
あの頃の私は不安の塊だったんだなと思います。
親と縁を切るということは、自分から上の年表を破り捨てることですから、自分のルーツを失うことになるんです。
家族と縁を切って清々した気分で家を出たものの、いざ独りになれば自分の存在を確認してくれるものが欲しくなるのです。
危険な峠道を攻めることで果敢な自分を賞賛して悦に入り、カーブをひとつクリアするだびに自身の生存確認をしていたんだと思います。
自分を危険に晒すことで浮かび上がる自分の形。当時の私はそれを確かめるしかなかったわけです。