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煮詰めたシチュー
第3章 雑記 弁当箱は自分で洗え
こうした勧善懲悪主義は、現代人の感情の中に原型として存在しているものの、それは実社会との矛盾を照り返した、いわばよくできた皮肉のようなものです。
自分の中にある勧善懲悪感情を満足させてくれるものが、実社会には存在しないからこそ、そういった感情を満足させてくれる映画やアニメや小説がウケるんですね。
現実と大きく乖離したストーリーにすればするほど、観る者の勧善懲悪感情は満足します。
悪巧みがあばかれ、犯人が捕まり、悪の組織が滅び、平和が訪れる。それに感情を満足させてもらって劇場を出ます。
でもそれは観客の感情を満足させるためだけの現実社会の裏返しですから、実際にはスーパーマンでない限り、社会悪を懲らしめることはできないということになります。