この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
煮詰めたシチュー
第4章 ホラーな男
その日、丸太足場を組み終えた帰り間際、山ちゃんは屋根の上にシノを置き忘れたことに気付きました。
シノは金属製ですから、強風で屋根から落ちてきたりすると大変です。通行人に直撃すれば悪くすると死んでしまいます。
『帰る前に気ィ付いてよかったわぃ』と、山ちゃんは忘れたシノを取りに、自分が組んだ足場をスイスイ登っていきました。
二階の大屋根に辿り着きかけた時、突風が吹きました。
咄嗟に山ちゃんは足場にしがみ付き、身を伏せて風が過ぎるのを待ちました。
大屋根に敷いたビニールシートが風に煽られ、バサバサと暴れる音が聞こえます。