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あの店に彼がいるそうです
第14章 夢から覚めました

 曇り空の下、見慣れたアパートの一室をノックする。
 すぐに裸足でペタペタと足音が近づいてくる。
 少し引きずるような音も。
 ガチャリ。
 僅かに開いた隙間から鋭い眼光が俺たちを刺し、それから嬉しそうに見開かれた。
「おぉ! 瑞希」
「えっ、瑞希? まじ?」
 忍の後ろから拓も顔を出す。
 俺のとなりで河南が頭を下げて会釈すると、二人ともぎこちなく答えた。

 四人でテーブルを囲う。
「結構久しぶりか? 病院で会って以来だもんな」
「大分忍もよくなってんだぜ? 最近じゃオレの傷とか叩いてくんの」
「なっばっ……ちげぇだろ! んなことしてねぇよ!」
 そう笑いながら太ももを撫でる拓は、微塵にも忍に責任を求めてはいなかった。
 吟じいさんから聞いた。
 撃たれたって……
 だから、忍と同時に店に来なくなった。
「今日はその、瑞希がお見舞いに行くって云ったので……お弁当? 料理を持ってきました」
 そう言って包みを取り出した河南に二人が身を乗り出す。
「マジか! ここんとこ手料理食べてないんだよ!」
「うわ、嬉し……すげ」
「一応あの……お肉だけと野菜だけのおかずも用意しました」
「最高」
「素晴らしい彼女だな」
 はしゃぐ二人に河南と眼を合わせて小さく笑う。
 提案したのは河南だった。
 一晩かけたらしい料理は色鮮やかで、繊細で、本当に丁寧に作られたことが伝わってくる。
「あ、飲みもん」
「バァカ。俺が取ってくるからてめぇは座ってろ」
 立ち上がりかけた拓の肩をぐいっと下に押し付けて忍が台所に行く。
「もう……元気そうで良かった」
「忍さ、手術後から肉控えてたんだ。だから今超絶ご機嫌なわけ」
 にこにこと。
 類沢に宣戦布告したときとまた違う顔の親友。
 部屋を見渡すと、家事はできているようで、綺麗に片付けられてるのがわかる。
 支え合って。
「ウーロンとコーラしかねんだけど」
「オレはコーラ」
「ウーロン」
「ウーロンでお願いします」
「りょーかい」
 忍がトレイにグラスを並べて持ってくる。
 相変わらずの長髪がタンクトップの上で揺れる。
 どうやって保ってるんだと言う髪質。
「忍さんて本当に髪綺麗ですよね」
 河南の言葉に、同時に同じことを考えていたのかと気恥ずかしくなる。
「ん? いや、女のあんたの方がずっと綺麗なんじゃねえの」
「そうかなぁ」
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