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散る華如く
第6章 開いた疑念の華
「しをな姉さん・・・!!ねぇ、大丈夫だよね・・・?」
家へ着くと、瑠花が心配そうな顔で姉の顔を覗きこむ。
「きっと大丈夫よ、瑠花。」
「では、私はこれで。」
神楽はそう言うと、菊屋へと帰って行った。
「薬師を呼んで、お楼。」
瑠恵は手伝いに来ている年若い女に声をかけた。
「はい、瑠恵さま。」
お楼は風の如く姿を消し、戻った頃には薬師の青年を連れていた。
「久しいですね・・・瑠恵様。」
「いいから、紗羅さまを診て。」
「これは・・・」
彼はしをなを見るなり、呟いた。
「恐らく・・・“記憶封じ”が剥がれそうなのでしょう。この高熱はそれによる反射のようなものだと・・・」
「目が覚めたとき―紗羅さまは、すべてを・・・思い出すと言うのね?」
「恐らくは、そうでしょう。」
「ねぇ、母様。紗羅さまは大丈夫よね・・・?」
「えぇ、“記憶封じ”が完全に剥がれたら・・・きっと目を覚ますわ。」
「私が看護をするから・・・お前達は下がっていいわ。」
「はい・・・瑠恵さま。」
瑠花を除く二人が、一礼をして部屋を出て行く。
「わたしの変妖を解いてくれる・・・?母様。」
「―勿論よ。」
瑠恵が娘に手をかざすと、そこには幼い少女ではなく
紅みがかった黒髪に紅い瞳をもつ、しをなと同世代に見える女が居た。
「紗羅さま・・・」
瑠花が眠るしをなの汗を手拭で拭う。
「母様は休んでいて・・・わたしが見ていたいの。」
「分かったわ。何かあればすぐに呼ぶのよ。」
彼女は静かに襖を閉めて行った。
家へ着くと、瑠花が心配そうな顔で姉の顔を覗きこむ。
「きっと大丈夫よ、瑠花。」
「では、私はこれで。」
神楽はそう言うと、菊屋へと帰って行った。
「薬師を呼んで、お楼。」
瑠恵は手伝いに来ている年若い女に声をかけた。
「はい、瑠恵さま。」
お楼は風の如く姿を消し、戻った頃には薬師の青年を連れていた。
「久しいですね・・・瑠恵様。」
「いいから、紗羅さまを診て。」
「これは・・・」
彼はしをなを見るなり、呟いた。
「恐らく・・・“記憶封じ”が剥がれそうなのでしょう。この高熱はそれによる反射のようなものだと・・・」
「目が覚めたとき―紗羅さまは、すべてを・・・思い出すと言うのね?」
「恐らくは、そうでしょう。」
「ねぇ、母様。紗羅さまは大丈夫よね・・・?」
「えぇ、“記憶封じ”が完全に剥がれたら・・・きっと目を覚ますわ。」
「私が看護をするから・・・お前達は下がっていいわ。」
「はい・・・瑠恵さま。」
瑠花を除く二人が、一礼をして部屋を出て行く。
「わたしの変妖を解いてくれる・・・?母様。」
「―勿論よ。」
瑠恵が娘に手をかざすと、そこには幼い少女ではなく
紅みがかった黒髪に紅い瞳をもつ、しをなと同世代に見える女が居た。
「紗羅さま・・・」
瑠花が眠るしをなの汗を手拭で拭う。
「母様は休んでいて・・・わたしが見ていたいの。」
「分かったわ。何かあればすぐに呼ぶのよ。」
彼女は静かに襖を閉めて行った。