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散る華如く
第6章 開いた疑念の華
その頃、菊屋では――
「神楽さん、しをなは大丈夫だったのかい・・・?」
戻ってきた神楽に、ときわが心配そうに問う。
「いや。だが譫言のように・・・妙なことを言っていた。」
「まるで、見えない母親に―謝っているような・・・」
「それじゃあまるで、しをなが・・・」
『鬼の姫君、“紗羅”のようではないか』―
その言葉は、何故か喉に引っ掛かったように出てこなかった。
「なんです?しをなさんがどうしたと・・・」
「いろはさん、先ほどのお嬢さんのことなのだが・・・恐らく紗―。」
「やめろ!!」
ときわは、聞いたことも無いほど鋭い声で遮る。
「オレはそんな出鱈目、信じない・・・!!」
「何故、戯言だと分かるのか・・・?」
神楽が厳しい声で問う。
「オレはしをなを信じる、あの娘(こ)がオレを信じてくれたように・・・!!」
「残念ながら・・・貴方の言うことに、筋は通っていませんよ。」
奥からかげろうが姿を見せる。
「―あの方は“紗羅”です。」
「なんで分かって―。」
「何故認めようとしないのか、その方が不思議ですよ。」
ふっ、とかすかに棘の滲む笑みを浮かべるかげろう。
「まず第一に、あの方は“紗羅”と瓜二つです。それに、母親のまぼろしを見た・・・というのは、何よりの証拠になりますよ。」
「“紗羅”は・・・肉眼で死人が見えるといいますし。」
「そんな、しをなが“紗羅”なんて・・・」
「紗羅であれば・・・生かしておくわけにはいきませんね。」
「・・・!!」
ときわは見世の外に走り去っていく。
「行かせてあげなさい、かげろう・・・」
追おうとしたかげろうを引き留めるいろは。
「いろはさん・・・!!」
「この吉原からは、どうやっても出られなのですから・・・」
「神楽さん、しをなは大丈夫だったのかい・・・?」
戻ってきた神楽に、ときわが心配そうに問う。
「いや。だが譫言のように・・・妙なことを言っていた。」
「まるで、見えない母親に―謝っているような・・・」
「それじゃあまるで、しをなが・・・」
『鬼の姫君、“紗羅”のようではないか』―
その言葉は、何故か喉に引っ掛かったように出てこなかった。
「なんです?しをなさんがどうしたと・・・」
「いろはさん、先ほどのお嬢さんのことなのだが・・・恐らく紗―。」
「やめろ!!」
ときわは、聞いたことも無いほど鋭い声で遮る。
「オレはそんな出鱈目、信じない・・・!!」
「何故、戯言だと分かるのか・・・?」
神楽が厳しい声で問う。
「オレはしをなを信じる、あの娘(こ)がオレを信じてくれたように・・・!!」
「残念ながら・・・貴方の言うことに、筋は通っていませんよ。」
奥からかげろうが姿を見せる。
「―あの方は“紗羅”です。」
「なんで分かって―。」
「何故認めようとしないのか、その方が不思議ですよ。」
ふっ、とかすかに棘の滲む笑みを浮かべるかげろう。
「まず第一に、あの方は“紗羅”と瓜二つです。それに、母親のまぼろしを見た・・・というのは、何よりの証拠になりますよ。」
「“紗羅”は・・・肉眼で死人が見えるといいますし。」
「そんな、しをなが“紗羅”なんて・・・」
「紗羅であれば・・・生かしておくわけにはいきませんね。」
「・・・!!」
ときわは見世の外に走り去っていく。
「行かせてあげなさい、かげろう・・・」
追おうとしたかげろうを引き留めるいろは。
「いろはさん・・・!!」
「この吉原からは、どうやっても出られなのですから・・・」