この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
散る華如く
第6章 開いた疑念の華
その頃、菊屋では――

「神楽さん、しをなは大丈夫だったのかい・・・?」

戻ってきた神楽に、ときわが心配そうに問う。

「いや。だが譫言のように・・・妙なことを言っていた。」

「まるで、見えない母親に―謝っているような・・・」

「それじゃあまるで、しをなが・・・」

『鬼の姫君、“紗羅”のようではないか』―

その言葉は、何故か喉に引っ掛かったように出てこなかった。

「なんです?しをなさんがどうしたと・・・」

「いろはさん、先ほどのお嬢さんのことなのだが・・・恐らく紗―。」

「やめろ!!」

ときわは、聞いたことも無いほど鋭い声で遮る。

「オレはそんな出鱈目、信じない・・・!!」

「何故、戯言だと分かるのか・・・?」

神楽が厳しい声で問う。

「オレはしをなを信じる、あの娘(こ)がオレを信じてくれたように・・・!!」

「残念ながら・・・貴方の言うことに、筋は通っていませんよ。」
奥からかげろうが姿を見せる。

「―あの方は“紗羅”です。」

「なんで分かって―。」

「何故認めようとしないのか、その方が不思議ですよ。」

ふっ、とかすかに棘の滲む笑みを浮かべるかげろう。

「まず第一に、あの方は“紗羅”と瓜二つです。それに、母親のまぼろしを見た・・・というのは、何よりの証拠になりますよ。」

「“紗羅”は・・・肉眼で死人が見えるといいますし。」

「そんな、しをなが“紗羅”なんて・・・」

「紗羅であれば・・・生かしておくわけにはいきませんね。」

「・・・!!」

ときわは見世の外に走り去っていく。

「行かせてあげなさい、かげろう・・・」

追おうとしたかげろうを引き留めるいろは。

「いろはさん・・・!!」

「この吉原からは、どうやっても出られなのですから・・・」
/33ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ