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散る華如く
第6章 開いた疑念の華
「ときわ・・・あんたどこ行くつもり?」

振り返ると、杏沙が厳しい表情で立っていた。

「いろはがそんなの許さないって・・・分かってる?」

「分かってるさ。でもオレは、あの娘(こ)を護りたいんだ・・・だって―。」

「―“初めて心から愛したひとだから”?悪いけど・・・それ、綺麗事だよ。」

「何でさ?」

苛立ちを滲ませて問うときわ。

「まことの愛なんてあるはずない、だからだよ。」

「―んだい・・・」

「は・・・?」

「アンタら鬼に何が分かるって言うんだい・・・」

「え、気づいて・・・」

「気づかない方がどうかしてるさ。あの娘(こ)はアンタらの仲間かもしれないのに、殺す?」

「―オレがそんなの許さない!!」

「―いろはには黙っていてあげる。だから、行けば?」

「は?」

「あんたのお嬢さんの元に行けって言ってんの。」

「ありがとさん・・・!!」

ときわは呉服屋へと急いだ。
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