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散る華如く
第7章 目醒めた彼女
「貴方は・・・」

「しをなに逢せてほしい。」

「すみませんが」

女はそこで言葉を切り、

「それはできません。」

「一目だけでもいいから―。」

「貴方のせいで、紗羅さまは目を覚まさないのですよ・・・!?」

「―“紗羅”・・・?」

傍らにいた瑠恵が冷たく息を吐く。

「下がりなさい、お楼。」

「はい・・・」

「おかみさん、しをな―いいや、紗羅は・・・」

「記憶封じの反射で、今は眠っているわ。」

「よかった・・・」

「貴方、本当にあの方を・・・?」

「あぁ、そうさ・・・紗羅を愛してる。」

「―あの方を愛してるなら、今すぐこの島を去って。」

「は・・・?」

「紗羅さまは次期女頭領となられるお方・・・それに貴方は何の能力(ちから)もない、ただの人間でしょう。」

「貴方が人間であることが、あの方を苦しめるの。鬼と人間は・・・仇敵同士だから。」

「どうあっても、そばに居ちゃいけないのかい。」

「瑠恵さま・・・!!」

「どうしたのです、お楼・・・?」

「紗羅さまが、目を覚ましました・・・!!」

ときわはそれを聞いた途端、呉服屋の中に走り去って行った。

引き留めようとする瑠恵の警告を振り切って。
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