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叶わないならせめて、手に入らないならいっそ
第8章 泡のようにはじけて
俺はショッピングモールのトイレに駆け込んで、個室に閉じこもった。

制服のシャツは肩のところがほつれて、ボタンもいくつか無くなっている。

親に何て言えば。
いや、その前に、どうやってこの姿で家まで帰ればいいのだろう。

男だからケンカしたと思われるだけだろうか。
同性の幼なじみに襲われたなんて、誰にも気付かれたくない。

口元を覆いながら、ずるずると便器の上に座り込んだ。

最低の気分だった。
震えるほど怒っているのに、涙も止まらない。

手の甲から血が滲んでいた。
人を殴るとこんなに皮がずり剥けて痛いなんて、初めて知った。
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