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英里を調教 <大学生編>
第16章 卒業式 「おもしろき ことをなき世を おもしろく」
 梅の花が桜にバトンタッチする頃。
 ついに私の大学の卒業式。

 大学生活最後の日。

 就職組で髪を黒くした子もいるけど、私の髪はちょっと明るい茶色のまま。

 料理教室の雇われ講師だから、ちゃんと就職する、というのとは少し違うし、オーナーーさんからも、あまり派手になりすぎなければ、と言ってもらってるし。

 春から一緒に働く真紀は元々黒髪で、こちらも卒業式だからって、ほとんど代わり映えしない。
 しかも今は一緒に住んでいる。

 だから私は、卒業してもほとんど何も変らない。
 ただ学校に来なくなるだけ。

 そんなんだから卒業式当日を迎えても「ついに卒業か」という、そのくらいの気持ち。
 
 だったのだけど。

 お店で振り袖、袴の着付けをしてもらう。
 真紀と二人で、お互いの振り袖姿を見てきゃーきゃー言ってたのだけど。
 このあたりから「本当に卒業で、本当に最後なんだな」って少しずつ思いはじめた。

 真紀を車の助手席に乗せ、途中で英里ちゃんを拾って大学へ。
 英里ちゃんのご両親がわざわざ車まで「卒業おめでとう」を言いに来てくれた。
 本当に優しいお父さんとお母さん。
 私も大好き。

 だけど、ごめんなさい。
 英里ちゃんにいっぱいえっちなことしちゃってます。

 って同じようなこと、英里ちゃんの入学式の時も思ったかしらね。

 通いなれた道に車を走らせ、守衛のおじさんに手を振って、いつもの駐車場へ。

 この道もこの駐車場も、お人好しの守衛さんも、今日で最後。

 そんなふうに思ったら、いきなりじんわりきた。
 ちょっと寂しくなっちゃった。

 思い返せば、入学式の日に英里ちゃんとえっちなことしたのも、この駐車場よね。

 私と真紀は、卒業式会場の体育館へ。
 英里ちゃんは式後に在校生が企画してくれた『料理研究会』の卒業祝いのパーティーの準備に向かう。

 楽しみにしてるよ、みんな。
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