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第10章 縛る人
ヒロは女王様の練習台になることがよくあった。
愛華に比べれば素人のようなものだったが簡単な縛りなら出来る。

「あんまりうまく出来ないかもしれないけど」
「いいよ~」

愛華はヒロに縛りを教えた事はない。
安全性さえ考慮されていればあとは工夫とこだわりの世界だと思っているから、自分が縛られる分には愛華ほどに技術を叩き込む必要はないと判断していた。

「きつくない?」
「大丈夫・・・・」
二つ折りにした縄で両手首を縛る。
縛った縄を束ねるように両手首の間に縄を通して引くと、愛華の手が完全に固定された。

「っん」
「大丈夫?」
「う、ん・・・」

ヒロが縄を引き、愛華の手は顔より上に持ち上がった。手が持ち上がると胸元は無防備になる。
愛華は思わずヒロの顔を見た。

「どうしたの?そんな目で見て」
「んん・・・何でもない・・・っ」
「そう?」

頭の後ろまで手首を引かれ、腕に縄が回される。
肘を伸ばせないように縛られて動かせなくなった愛華のが恥ずかしそうに俯いた。
背後で2本目の縄が接がれ、胸の上を這っていく。

「アッ!」

縄が乳首の上をかすめ、愛華が声を漏らす。

「どうしたの?」
「ッく、乳首が・・・」
「敏感だねぇ」

後ろでぎゅっと絞められて今度は胸の下へ。胸下の縄も同じように背中で絞られた後、首の横を通り抜けて胸下の縄へと掛けられた。

「ンン・・・ッ!」

胸の谷間でV字に折り返された縄が乳房を絞り上げる。背中で縄を留めたヒロの手が、ゆっくりと愛華の両肘を包んだ。

「大丈夫?痛いとこない?」
「ッハァ・・・大丈夫・・・」

少し上擦った、ため息混じりの声で愛華は答える。

「アァ、ん・・・っ」

肘、二の腕、脇・・・と、ヒロの手が左右同時にゆっくりと撫でながら降りてくる。
降ろすことの出来ない両腕を意識すればするほど、ヒロの手に対して過敏に反応した。
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