この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
奴隷からのはじまり。
第3章 さん、妹もいるの。
「ねえ、、くうちゃんって、きょうだいいるの?」
 比較的機嫌のいい日に、愛乃が、珍しく普通のことを尋ねてきた。
「きょうだい? ううん、いないよ。ひとりっこなの」
 玖路香は、相手の意図が読めないまま正直に答える。
「そう。じゃあ、妹に会わせてあげる。すごく可愛いの」
 ふふ、と無邪気に笑う愛乃は、悪戯を計画しているときのように楽しそうだ。罠だと分かっていてもほいほいついていく愚かな小動物みたいに、玖路香は彼女の家に行く。
「いろいろ事情があってね、妹とはいっしょに暮らしてないの。お父様のお友達のところに、あずかってもらってるんだ。だから、たまにしか会えないけど、そのぶん、会ったらいっぱい遊ぶんだよ」
 話を聞きながら、玖路香は、愛乃にも普通の少女の一面があることに驚いていた。この美しい人形のような主人には、異常な事柄しか詰まっていないのかと思っていたのだ。
「ただいまー」
 使用人に鞄をあずけた後、愛乃はいつもよりハイなテンションで、奥へ向かって声をかけた。
 返事はなかったけれど、突き当たりの部屋のドアが開いて、愛乃と同じくらい小柄な女のコが現れる。
「深雪(みゆき)。二つ下なの」
 愛乃が紹介してくれた。
 黒と白のゴスロリ服に身を包んだ少女・深雪は、無表情のまま、不審げに玖路香を見ていた。ストレートな黒髪を肩の下辺りまで伸ばしていて、顔立ちはあまり愛乃に似ていないけど可愛らしい。白いくまのぬいぐるみを、だいじそうに抱いている。もうそんな年ではないと思うが、姉といっしょに暮らせないのが寂しいせいでもあるのだろうか。
「深雪ちゃん、こんにちは。よろしくね。あ、私は……」
 自己紹介しかけた玖路香をさえぎって、愛乃が妹に言う。
「こないだ話してあげた、お姉ちゃんの奴隷のくうちゃんだよ」
「ふーん」
 ここで初めて声を出した少女は、蔑むような目で玖路香を見た。視線の冷たさが、どことなく姉に似ているような気がした。
「さ、せっかくだし、おもしろいことしていっしょに遊ぼう」
 愛乃がにこっとして、部屋の鍵をかける。
 初めて少し口角を持ち上げた深雪が、ポケットから鞭を取り出したのを見て、玖路香は、悪夢が始まったことを悟った。
/31ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ