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変態王子の献身
第2章 リッツシュタイン家の城下町
「そうだね。でも、もう会えないし、別にいいの。」
と、リーナは言ったのだが、仲むつまじいマリアとラルフの様子を見ながら、少しフレッドのことを思い出してみたら、この二人のようにフレッドと腕を組んだりしたら素敵だだろうなと、思った。しかし、両国の関係が悪化し、もうフレッドに会うこともなければ、腕を組んだりキスをしたりといった風にはなれないだろうとは分かっていた。それに、リーナにはお見合いの話が来ているという噂は城内では有名である。

「じゃあ、リーナに誰か紹介してあげてよ。あんたの警備兵の仲間で品のよくてハンサムなのっていない?」

「そうね。私もちょっと二人みたいに仲良く街を歩いたりしてみたいかも。」
リーナは意外とあっさりと言った。異性に興味が無いわけではないからだ。ちょっとデートするくらいなら問題ないだろうと思ったのだ。
リーナはお忍びで出かけた際に城下町で購入している町人同士の恋愛を描いた小説を好きで読んでいて、そのような自由な人々の甘い恋愛や、堅苦しくない男女のおしゃべりに憧れていたのだ。
自分をそんな小説の主人公と置き換えて場面を想像するだけで、16歳のリーナの胸はときめくのだった。


「リーナちゃんのように可愛い子ならいくらでも良い奴紹介するよ。」
と、ラルフは言った。

その日は三人で街中をぶらぶらした。ラルフとマリアは何度もキスをして、手を繋いで楽しそうである。

その日の最後に、ラルフは、

「じゃあ、今度会うときにでも、友達連れてくるよ。」
と、リーナに言った。


それからまた一ヶ月は城下に出ることもなく、リーナは城の中で過ごしていた。しかし、今度城を抜け出せる時には、きっとラルフの友達の男の子と手を繋いだりできるのだと想像するだけで楽しい気分で過ごすことができた。




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